EXC-R サスペンションのショートストローク化


↑後軸を基準とするとこのくらい姿勢と全長が変わります↑
(ちょと重たいですが、気長に待ってネ)

 04EXC-Rにフサベルのモタードキットを組み込んだ車体の前後サスペンションをショートストローク化してみました。
 ねらいは、サスペンションがノーマル泥んこ状態で17インチホイルを履かせてもも十分に走る事は判りましたが、ある程度以上のペースで走るとやはりフロントの沈み込みのスピードと量、リアの跳ね上がりが気になりはじめるので、それらをある程度規制してみる事です。今回はモタードレースに出場する事が目的の設定で、僕的には全く未知の世界です。どんな感じにして良いのやらサッパリですので、まずはある程度大きくストロークを規制してみる事から始める事にしました。

 


↑リアショック用の詰め物↑
詰め物はユニットが伸びた状態ではオイル通路をふさぐ位置に来る事になりますので
大きめの油路を設けておきます

 

 今回は、KTMやフサベルのモタードモデルのサスペンションストローク量を参考にしつつ、オーナーの乗り方なども考慮に入れ、フロント30mm、リア40mmショートストローク化してみる事にしました。はっきり言ってこの数値には何の根拠も無いのですが、前記のモタードモデルが泥んこモデルに比べて前後30mm程度ストロークが短かかったのと、実際に泥んこ状態のサスペンションに17インチホイルを履かせて走った際にハンドルがキョロキョロして少々落ち着きがなくなり、フロントが大きく下がる事によりステップが後方に移動した感じになる為、もうちょっとリアが下がった姿勢にしてみようというものです。またリアショックの作業に関しては、今回作業するモデルはリンクレスサスペンションなのでサスペンションユニット長を変えてもスイングアームのレバー比が変わらない為、スプリングレートを変更する必要がなく、単純に詰め物をするだけです。後からいくらでもやり直しが効く為、ちょっと大きめの数値にしてみようという理由もあります。フロントに関しては、どうしてもスプリングをカットもしくは短いものへの変更が必要になってしまいますので、安パイな数値で押さえておこうといったところです。

 作業に移ります。フロントはインナーダンパーに30mmの詰め物をしてストロークを規制します。問題のスプリングですが、STDは5mm程のスペーサーが3枚入っており、これを抜けば同じプリロード量にセットするにしてもスプリングのカット量は15mmで済ます事が出来るのですが、30mmカットした際のレートを計算してみると約5%程度のレートアップにとどまる事と、泥んこでこのバイクに乗った感じからしてロードコースで使用した際にはレート不足になる事が予想できたので、今回は素直に30mmカットしてみる事にしました。
 次にリアですが、前述のとおりこのモデルはリアサスペンションにリンク機構を持っておらず、スイングアームのレバー比は一定であるため、一般的なリンクサスペンションをショートストローク化した時のようにバネレートを変更する必要が無く、作業内容はいたってシンプルです。ホイルが40mmストロークした際にユニットがどれだけストロークするかをあらかじめ計測しておき、その長さの詰め物をユニット内にセットするだけです。スプリングはユニットが短くなった分だけアジャスター位置を変更してやればOK。まったくもって、こういった作業をするには適した構造をしています。
 余談ですが、リアショック用詰め物の材料にはアルミの7075材を使用しましたが、今回のユニット内ではこの詰め物とサスペンションが伸びきった時の衝撃を吸収するスプリングとが接する事になります。はたしてアルミ材で問題が無いのか不安材料が無い訳でもありませんが、こちらに関しては追って結果が出る事でしょう。

 さて、作業を終え改めてその姿勢をみると、見慣れた泥んこ仕様の姿勢にちょっと近づいた感じです。またがりると単純に17インチを履かせただけの状態で感じるハンドルやステップ位置の違和感は少なくなったようです。実際に走らせてみると、フロントのキョロキョロ感はかなり押さえられ、乗り慣れた泥んこ仕様の感じにかなり近ずきました。近所をぐるりと回っただけですが、緩やかなカーブや交差点でも特にクセもなく、思ったとおりの動きをしてくれました。ブレーキをドカンとかけてもリアがつり上げられるような感じも無くかなり良い感じです。

 今回の作業は、かなりテキトーな数値設定だったにもかかわらず、まずまずの滑り出しといった感じでした。この先は実際にオーナーに乗り込んでもらい、より良い方向へと進めて行く予定です。