KAWASAKI 750SS トップブリッジ修理

↑割れちゃったトップブリッジの図

カワサキのマッハの割れてしまったというトップブリッジを
直したいというご依頼。

 

↑外側に開先を付けるの図

えー、アルミの鋳物ですので、溶接と言っても、多分なかなか
厳しい感じだと思われ、やってやれない事な無いですが、手間を
かけて作業した割りにはあまり良い仕上がりにはなりませんゼと、
ご説明申し上げましたが、まず交換用の部品は手に入らないし、
手に入ったとしてもどんな状態はか判らないので、とにかく
この部品で再構築してみたい、というご要望を頂きまして、
であれば、やってみようという事に。

破断面を頼りに、位置決めして溶接しますが、表面だけ付けても
アッと言う間に割れると思われますので、断面を全て溶かして
くっつけるべく、まずは外側面に開先を取って、一巡溶接。
その後内側に開先を取って溶接して、再度外側を盛り上げる
三段階作業という作戦。

  

↑チャックし直しの図
↑位置決めちうの図

当初、破断面を半分残して、指で押さえている隙に
点付けして~、なんて超絶スウィートな事考えてましたが、
実際にやってみると絶対にズレて付ける自信がみなぎったので、
位置決めサポート材兼溶接用アースポイントとして
丸棒を削って治具的な部品を作ってみました。
多分ステムのシャフトは38mmのなんだろうなぁっていう感じ
だったので、位置決め用だからなるべくピッタリで少々
きつめくらいの方が良かろうと、変な色気を出して38mmチョッキリで
削ってみたら、既に穴が歪んでいたようで上手く入らず、
再度旋盤にチャッキングし直して37.93くらいにしたらやっとこ通りました。
使い込んだ部品ですから、机上の空論通りにはイカンですな。

 

↑溶接準備完了の図
↑一巡目溶接完了の図

てな事で、位置決めが出来たので、溶接開始。
とは言っても、最初に仮付けした時点で破断面はビミョーに
動いてしまうので、やれる範囲で頑張りますっすて感じ。
ここからは全く余裕が無いので、途中の写真はほとんど無し(笑)

 

↑コンターマシンで内側に開先の図
↑内側溶接準備完了の図
↑溶接ちうの図
この穴がなかなか埋まらなかった

とりあえず、折れた部品が固定できたところで、
コンターマシンを使って内側に開先を掘りまして、
狭い所に無理矢理トーチを突っ込んで溶接。
ウチの非力な溶接では、ほぼフルパワーな作業になりますし、
鋳物特有の何かゴミ的なモノが鋳込まれてちゃっているか、
湯になった材料が上手く流れず、表面張力でブローホールのような
クレーター状の穴がなかなか埋まらず苦労しました。
溶棒入れちゃうと、中に空間が残ってしまう事が多いので、
全体がデロっと行っちゃうか否かって感じまで粘って、なるべく
チュルンと湯が流れるまで忍の一文字(笑)

 

↑治具追加工の図
溶接ビード部分の逃げる空間を削りました
↑追加工した治具を装着の図
↑外側本溶接の図

内側の本溶接が済んだところで、位置決め用の治具に
内側の溶接ビード部分を逃がす空間を削って、
トップブリッジに差し込めるように改造。

案の定、少々内側に倒れ込んで、治具はスルっとは
入らなくなってましたが、ムリクリ突っ込んで
外側を本溶接。

 

↑溶接完了~の図
↑硬化待ちの図

てな事で、結局3時間半くらいかかりましたが、
ようやっと全ての作業が完了。
外形を削って成型する時に、なるべく凹まないように
なるべく盛り盛りに溶接しておいたつもりです。
とりあえず、上手く付いたんでないかと思います。
最終的な仕上げは、お客様が行うという事で
ワタクシの作業はここまで。
熱が引けて固まるまで、治具を入れて軽~くボルトで
押さえて放置です。

よく、割れた部品を溶接したらまた使えるでしょう
ってお話を頂きますが、実際には形も崩れますし、
塗装はダメになってしまいますし、溶接は簡単で万能って
訳では無いって事がお解り頂けるかと思います。
それでも、って事であれば、いくらでもお手伝いは
させて頂きます。

皆さまからの作業ご用命をお待ちしております。
<(_ _)>

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