ハーレースポーツスターのフロントフォーク整備をご用命いただきました。
↑フォークシールの図
↑錆びで膨らんだダストシールの図
フォークオイルが漏れてしまったのですが、主たる原因はシール類の
腐食による破損のようです。
インナーチューブにも、ツブツブと小さいサビが浮いておりまして、
オーナーさんとの相談の結果、この際カッチョ良く再コーティング等も
検討いたしましたが、今回は磨いてごまかす方向に決定。
たまにグリースを表面に引いてやっとくだけで、割と長い事
使い続けている実績はあるので、使い方次第でOKかと。
出て来たオイルは、上澄みは透き通ってますが、
沈殿物の量はもの凄く大量でした。
チューブの底のオイルロックピースなど、洗浄剤で
洗い流しても、内側にはビッシリコッテリ汚れが詰まっております。
こうなっちゃうと、直接拭き取るしか有効手段が無いです。
たまにフォークオイルは、ひっくり返して抜くとか、アウターチューブの
先っちょのドレンボルトから抜いて、新しいオイルを入れるとか
って手法は聞きますが、こうなっちゃていると、
多分ほとんど意味ないと思いますヨ~。
って事で、お掃除完了。
筒の内面や、奥底を長い棒なんかで必死に拭くので、
えらくお掃除には時間がかかるのでございますが。
このテのフォークのキモ的な部分だと思いますが、
油圧を発生させるためのロッドを、何も考えずに組み立てると、
先端がインナーチューブの内壁に擦ってしまいます。
モチロン、ピストンリング的なスライダーも装備しておりますが、
金属同士が擦れちゃったりする場合も多々見かけます。
今回のフォークもそんな感じで、先端はボコボコになって
しまっており、擦れてバリも出てました。
って事で、角やバリをキレイに修正して、全体の面も取って
組み直します。
で、下準備が整った所で、いよいよ組み立て。
組み立て状態のダンパーロッドの先っちょは、全屈状態でも
インナーチューブの端面から楽に300mm以上奥なので、
当然手で押さえながら組み立て等は厳しいです。なので、
ダンパーロッドの先っちょにピッタリ被さり、外径が
インナーチューブの内面チョッキリな組み立て用治具を作製。
コレでほぼ自動的に各部品の芯が通った状態で
組み立て可能になる訳でございます。
(治具の救出が大変なんですけどねぇ)
うむ、満足。
今回は、ちょっと減衰力を上げてみたいという事で、
油面はそのままに、今まで入っていたオイルよりも
かなり硬めなものを入れてみました。
はてさて、どうなる事でしょう。思うような方向に振れてくれると
良いのですが。
作業前後を乗り比べた個人的な感想では、周囲の交通状況は
全くシカトでユッタリマッタリ走るのであれば、柔らかいままも
全然アリかと思いましたが、今回減衰力が上がっても、
フォークはシッカリと動いてくれていたので、乗り慣れた人が
チャキチャキ走らせるには、こちらの方が格段に小気味よく
走れそうに感じました。
後は、オーナーさんのお好みだけ。
気に入らないようであれば、また別の粘度のオイルや、
スプリングのプリロード量の変更などを試してみたいと思います。