エンジンオイルドレンボルトをナメてしまったという
ヤマハ YB125SPをお預かり。
なにはともあれ、状態確認。
ドレンボルトのネジ山に、クランクケース側のネジ山が
こびりついちゃってました。
ボルトは、ダイスを通して再使用可能でしたが、
ドレン口の雌ねじは全滅でした。
ボルトをナナメに入れてしまった、という感じでは無く、
ボルトのシール用の銅ワッシャーもペチャンコになって
張り付いてしまっていたので、おそらく締め付け時の
オーバートルクで、雌ねじがあがってしまったのだと思われます。
マジメにやろうと思うと、クランクケースを割らないとイカンって
話になるのですが、オーナーさんとの協議の結果、外側からやれる
だけの事はやってから考えましょう、って事になりました。
補修の方法はいくつか考えられましたが、ネジのサイズアップを
するには、ちとドレン口周辺の肉も足りないし、止まり穴のように
なっていて、深くは掘れそうにないので、コイルタイプの補修材で
行ってみる事に。
M12のピッチ1.5の補修材は持ってなかったので、お取り寄せ。
で、ココからは、度胸一発フルマニュアルな加工になりまして、
ドレンボルトの座面をなるべく垂直になるように、センタースタンドの
下に板を入れて車体の角度を調整。コレでドリルの水平方向は
地面と水平くらいってイメージで、後の一軸は目の子で行くしかありません。
余裕が無くて、途中の写真は撮れてません。
案外、下穴のドリルが良い角度で入ってくれたので、
タップを入れて行くのは、そんなに大変ではありませんでしたが、
ここで全てが決まるので、何度も歯が入って行く角度を
確認しながら作業を行いました。
収まったタップの角度も計測してみましたが、奇跡的にカナリ
良い感じにネジを切る事が出来ました。
今回の勝負には勝った感じでしたが、いつもこんなに上手く行く
訳がありませんので、できれば機械加工で行いたいものです。
ドリルやタップのキリコは、その都度掃除機で吸いまくり
ながらの作業でしたが、ウッカリ入り込んでしまった
キリコをなるべく排出するべく、ドレンを開けたままフィラーから
オイルを入れて、内部を洗い流しておきました。
で、下準備が完了したところで、コイル状の補修材を
入れて行きます。今回は止まり穴になっていて、下穴はそんなに
深くは無く、補修材キットのタップも2番相当なので、そんなに奥まで
ネジが切れる訳では無いので、キットに付属の1.5D(ネジの直径の1.5倍)
相当の長さの補修材では長すぎると思われたので、1Dタイプを用意。
コレは正解でした。
てな事で、ドレンボルトにしっかりとトルクがかけられる事を
確認して、新しいエンジンオイルを入れ、しばらく試運転。
しばらく放置して、ドレンボルト周辺にオイル漏れが無い事を
確認して、この度の作業終了~。
いやぁ、今回はたまたま上手く行きましたが、こんなに
上手い事行くのは希だと思いますので、同じような事に
なってしまった皆さま、甘く考えない方が良いですよ。
今回は、お客様がダメだった時の覚悟はして下さっていたし、
その際に必要な部品類の入手状況までちゃんと調べましたので、
作業に踏み切れましたが、そうで無い場合は出来ればお断りしたい
案件でございました。
皆さまからの作業ご用命をお待ちしております。
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